2010年9月25日 岐路に立つ米国経済

http://www.whitehouse.gov 内の動画と演説のスクリプトをもとに翻訳しました。
http://www.whitehouse.gov/blog/2010/09/25/weekly-address-crossroads-economy

バラク・オバマ大統領の炉辺談話 
2010年9月25日
ホワイトハウスにて

 景気後退の始まりと終わりを正式に決めているエコノミストたちが、2008年からの景気後退が終息したことを、今週、正式に発表しました。しかしあなたがもし、家を失い、仕事を失い、あるいは貯蓄を失った何百万人もの米国民のうちの一人ならば、このニュースはほとんど慰めにもならず、価値も見いだせないでしょう。

 確かに、景気は2008年や2009年初頭には縮小していましたが、いまや成長に転じています。私が大統領に就任した時には、月に80万人の職が失われていましたが、いまや民間企業の雇用は毎月増加しています。

 とはいえ、今必要とされている雇用を生み出し、景気後退によって受けた大きな損害を修復するために、私たちは成長を促す努力を続けなければいけません。そうした理由から、私は一連の追加的な措置を提案してきました。まず、今この時期に設備投資をする企業に対する減税、米国企業による革新を促すための研究開発に対する恒久減税、そして、雇用を生み出し、米国の競争力を高めるために、我が国の道路、鉄道、空港を再建する新戦略です。

 こうした措置は、先週、議会で可決された中小企業に対する減税および融資計画と一体となり、短期的には雇用拡大、長期的には米国経済の強化を支えていきます。

 ところが、議会での支配権獲得を狙う共和党議員は、先日、独自の案を示しました。その多くは、そもそもの経済危機を招いたかの政策とまさに同じなのです。共和党の指導者の多くは、あの失策の立案に関わっていた人物ですから驚くことではありません。

 その法案は、いつもの使い古された主義を基盤としています。高額所得者への減税、金融規制緩和や特定の利益団体に対する規制緩和、あるいは、中所得者層が何の助けもなく自立できるよう自由を与えよというものです。それは、よりよい未来への処方箋ではありません。それは、再び蘇らせる余裕などない悲惨な10年を繰り返すことです。

 ワシントンの共和党議員は、自分たちのアイディアは共和党が立ち上げた「アメリカの意見」というウェブサイトに寄せられた声を基にしていると主張しています。しかし、そのウェブサイトで最も反響の高かったアイディアの1つは、海外に雇用を持ち出す企業への減税打ち切りだったことがわかりました。

 おもしろいことに、過日、私たちが海外へ雇用を持ち出す企業が使う最も悪質な抜け穴の1つを埋めた際に、議会では共和党議員がほぼ全員一致でこれに反対したのです。共和党の下院院内総務であるジョン・ボーナー氏は私たちの案を非難し、米国の雇用者ではなく、海外へのアウトソーシングに味方しました。

 要するに、米国は意見を表明しているのでしょうが、議会の共和党議員はまず耳を傾けていないのです。彼らが望んでいるのは、ワシントンの特定利益団体を権力の座に戻すことです。彼らが望んでいるのは、健康保険会社が既往症を理由に補償を拒否することをついに禁止できる法案を振りだしに戻すことです。彼らが望んでいるのは、勤勉に働く家族が、クレジットカードを利用したり、住宅ローンの支払いをしたり、学生ローンを組んだりするたびに、巧みに隠された利子や違約金を払わされるのを防ぐ改正案を撤回することなのです。

 そして、支出を抑制し、財政赤字を抑えるべきだという意見を述べているにもかかわらず、追加で7000億ドルを借り入れて、百万長者や億万長者のような高額所得者に対する減税に使うことを望んでいるのです。それは平均すると、高額所得者1人当たり約10万ドルの減税になります。

 私たちには、一握りの高額所得者のための減税を実施する余裕はなく、その代わりに私は、この失われた10年で収入が5%減少している中所得者層の家族のための減税を求めています。私たちはすでに、中小企業経営者に対して雇用や成長を支援する8種類の減税を実施し、さらに別の8種類の減税も実施する予定です。私たちは州政府や学校に対して、子どもたちによりよい教育を与え、大学の費用をもっと手頃な水準にするようにと要求しています。それによって、米国が大学を卒業する子どもたちの割合でもう一度世界のトップになれるようにするためです。また、ウォールストリートが犯した過ちの後始末をするためにメインストリートが支払を負担することが二度とないように、血税によって支払われる救済措置に終止符を打ちます。

 米国は偉大な国です。私たちの民主主義は力強く、私たちの経済には活力があり、私たちの国の労働者は最高水準の競争を勝ち抜きます。しかし、時計の針を戻して特別利益団体に権力を与えることは、世界でも最高の国家の地位に留まるためにとるべき道ではありません。私たちが進むべき道は、すべての国民が公平な扱いを受けられるのを保証することです。私たちが進むべき道は、今でもアメリカンドリームに向かって働く意志のある者が全員、確実にその機会を手に入れられるようにすることです。そして、私が大統領としての栄誉に預かる限り、これこそが日々の私の使命であり続けるでしょう。

みなさん、良い週末を。

http://www.whitehouse.gov/WeeklyAddress/2010/092510-QFJKNC/092510_WeeklyAddress.mp4

 この後、27日に中小企業支援法は成立しました。
http://www.cnn.co.jp/business/30000353.html