5歳の男の子にピンクのペディキュア、J.Crewの広告と「物理とわたしどっちが大事?」のポスター

 Toemageddonって何?と思いましたら、armageddonをもじっているものでした。ピンクのtoeが大変なことになってます。J.Crewの社長兼クリエイティブ・ディレクター(母親)と5歳の息子が楽しそうに過ごす休日のひとこまを載せたオンライン広告の中で、その男の子の足の爪がピンクに塗られていたことを受けて、アメリカの各テレビ放送局が、男の子にピンクのペディキュアとは何事だ!と非難囂々の報道をしました。

 動画はこちら。

http://www.thedailyshow.com/watch/wed-april-13-2011/toemageddon-2011---this-little-piggy-went-to-hell

 ええ? ジョンが言うように、親子で楽しく遊んでいるだけでしょう。たしかに広告の中では、そのピンクのネイル商品もピックアップされていますが、親子の写真の中には色鉛筆のようなものも背景としてセットされていて、子どもらしい遊び感覚が前面に出ている違和感のない写真です。幼い男の子に女装させようなどという意図は感じられません。それなのに、男の子にピンクのペディキュアすると性の倒錯につながるという論調って……。「Transgendered Children」なんて言葉まで飛び出しました。

 直接関係ありませんが、つい先日、阪大物理学部の入試説明会のポスターが女性蔑視だと非難されていました。

http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1104/14/news037.html

 これも、大半の人にはおもしろい表現と受け取られると思います。これを見た女性志望者、あるいは、恋人を捨てなかった志望者、既婚者である志望者が、自分は説明会に行けないと思うものでしょうか?

 広告やポスターには、受け手によって好き嫌いがあるのが当然です。「こんなの大嫌い!」と思ったら、そう発言したらいいと思います。でも、嫌いだからといって作り手を攻撃するのって、正気の沙汰と思えません。ちょっと冷静になってみてほしいものです。大騒ぎしている報道が滑稽だと思うわたしの感覚っておかしいのでしょうか? 「J.Crewは、いったいどんなメッセージをこめようとしているのでしょう?」って目をむいてまくしたてるアナウンサーなどなど、かえってこわすぎです。滑稽なだけならいいのですけれど、そういう主張がまかり通るのは非常に恐ろしいことです。もちろん、表現する側にも配慮や責任ってものはあるでしょうが、ここまで攻撃するのはバランス崩れてるように思います。

 ファストフードのコーヒーカップカップ麺に「熱湯に注意してください」とか、お菓子の包装に「縦方向に開封してください」とかいう、どこまで本気かわからない、人をばかにしているとしか思えない、まじめに読み始めると頭痛しか引き起こさない注意書きが、いつの頃からか身の回りに氾濫していますが、広告にまでその波が押し寄せているのかもしれません。いや、実際にテレビCMでも、演出上のアクションだからまねをしないでくださいとかいうキャプションが出るものもあったはずです。楽しくおもしろい表現でアピールするという手法も、けしからんと怒られて、どんどん制限されていくのでしょうね。サザエさんのエンディングがのど詰まりからじゃんけんに変えられてしまったみたいに。